フェルメール展@大阪市立美術館
概要
訪問した日:2019/3/2
★★☆☆☆
今回のBest:マルタとマリアの家のキリスト
総評
ものすごく人気のフェルメール。
美術のことをあまり知らない人でなんとなく知っているだろうし、観たら大体「素敵」と思える作品ということは分かる。
でも、正直のところ、私はあまり惹かれない。なんというか、あまりにきれいすぎて、心に残らない感じというのか。
しかもフェルメール展となると、混雑がはんばないし、フェルメール自身の作品はほんの数点だし(そもそもフェルメール自身が寡作だし)、一緒に来る作品は大体「ふーーーん」レベルというのもわかっているしで、あまり積極的にい行かないのだが、今回はチケットをいただいたので、ありがたく行かせていただくことになった(無料なら行きたいという貧乏根性)。
大体のフェルメール展となると、1、2点しかないのに今回はなんと6点!
でも東京の方が多かったという、大阪人の神経を逆なでしそうですな…
例によってフェルメールの作品はもったいぶって最後。
それまでは前座というべき作品が並ぶ(言い方が悪すぎますが)。
その中で、ニコラス・マースという人の作品が結構よかった気がする。
展覧会とは関係ないが、大阪市立美術館の周りは天気が良かったのもあって、非常ににぎわっていた。
晴天のもと、おやつを食べてまったりしてから展覧会に行くと、パンジーやチューリップが飾られてて、春だな~と気持ちよくなった。
中は予想通りの激混みだったが!
印象的だった作品
ヘンドリック・テル・ブリュッヘン 「東方三博士(マギ)の礼拝」
ドラマチックな構造なのだが、何せ、キリストである赤ちゃんが類まれなくぶさいくさ!!!
絵がどうのこうのではなく、この赤ちゃんのぶさいくさが衝撃的だった。
宗教画に描かれてる、赤ん坊のキリストは、大体、可愛くないのだが、この絵は『かわいくない』通り越して本当にぶさいく!!
ヤン・ファン・ベイレルト 「マタイの召命」
これまた、この絵が素敵とかそういうことではなく、当時のオランダではこの画題が人気だったというのが興味深かった。オランダが商人の国だったからなのかな、と思った。
構図が斬新で面白かった。ヨハネの頭をこちらに向けた状態で斬首されているので、首の切れ目が画面下部中央に描かれている。あまりに残虐なので、キャンバスがカットされているそうだ。
これでサロメがきれいだったら、グロテスクと妖艶で、すさまじい絵になったのではないかと思う。
シモン・デ・フリーヘル 「海上のニシン船」
何の変哲もない風景画なのだが、穏やかな海の色がきれいだった。
ニコラス・マース 「糸を紡ぐ女」
小さな作品だが、影の中に糸を紡ぐ女性が描かれていて、その光と影の描き方がドラマチックで好きだった。
ニコラス・マース 「窓辺の少女、または『夢想家』」
こちらは大きな作品。割と挿絵っぽくて、題材も構図も陳腐といえば陳腐。でも丹念に描かれていて、まさに夢想家の雰囲気は出ていた。
今回のベスト。キリストの話を聞いているマリアの雰囲気が好き。キリストを尊敬しているのと、話を聞き入ってしまっているのとが伝わってくる。
まぁ聖書のこの話では、マルタかわいそう‥と思ってしまうのですけどね
(と後で、こちらの記事を読んだら納得した)
大阪の展覧会ではこれが目玉作品になっていたけれども、正直、全然好きではなかった。
というか、なんでこんな題材にしたの!?と聞きたい。
男の野卑た顔つき、女性の強欲そうな顔。こんなのを大きく描かれて、誰が家に飾りたいのだろうと思ってしまう。
光の描き方や情景としては良い作品だと思うけれども、なんでこの人をモデルにしたの?と思ってしまう作品。
母曰く、海外の展覧会で説明されていたのは、変わった顔の人物が出てくる絵をコレクションをしている人がいて、その要請で描いたのではないか、ということだった。出展は定かでないので、本当かどうか知らないけれども、そう言われるとしっくりくいくくらい、フェルメールの絵には変わった顔の人が良く出てくる気がする。
この子は可愛いので良しとしよう。でも黄色い服があまり好みじゃない(すみません、文句ばかりで)。この黄色い服、やたらと出てくるけれども、この子にはあんまり似合ってないと思うのよね。
母と見るたびに言うのが、「これが恋文って顔か!?」ということ。
めくられたカーテンで秘密感が出てドラマチックな構造ではあるけれども、その先は、あまり美人でないという残念感…
因みに上の可愛い子と同じ黄色い服着ているけれども、こちらの方が似合っていると思う。
この絵は、光も美しいし、ステンドグラスも美しいし、出てくるお二人も不細工でないし、安心して「きれいな絵だね」と言える作品。
と、フェルメール好きが大半と思われる中、毒ばかり吐いてしまったけれども、こればかりは好みの問題だから仕方ないですわね。