がらくたにっき

美術館・展覧会の鑑賞記録日記

驚異と怪異@国立民族学博物館

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 行った日:2019/11/19

★★★★☆

本日のBest:悪魔踊りの仮面と衣裳 (国・地域:ボリビア 民族:アイマラ 1982年製作)

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感想

初めての民博。楽しいと聞いていたけれども、こんなに楽しいと思わなかった!というくらい満足度が高かった!

「驚異と怪異」展もさりながら、常設展示も最高だったし、常設展のところでやってた「アルテ・ポプラル」展もすごく良かった!メキシコのカラフルな色使いながらも、ちょっと不気味さが癖になりそうなくらい。

 

「驚異と怪異」展の方は、水、天、地と、想像上の生き物たちを分類しているのは新鮮だったし、二階に上がると「聞く」というテーマで音が取り上げられたりと、多角的に「驚異と怪異」を扱っていて非常に興味深かった。

特に、想像上の生き物たちを扱った1階はめちゃくちゃ面白く、地域によってこんなにも違うんだな、というのと、根本的な部分は民族が違っても一緒なんだなと気付かされた。

例えば、”海の中の想像上の生き物”となると、人間と魚の合体したものが広い地域でメジャーであるんだけど、その表現方法は民族によって全然違う。主に人間部分が違うのだが、あまり人間っぽくない顔もあれば、長い髪をたなびかせた人間の女性に近い顔もある。

 

あと興味深かったのが「眼」の扱い。

日本にも鬼や龍など、眼の大きな想像上の生き物がいて、にらみつけるような風貌をしているけれども、それを超越したような、眼自体に強力な魔力を持っているような生き物もいれば、眼が装飾的に丸い立体になってしまっているものもある。

その人種の目の形に関係しているのかな…と思っているのだが、そういった検証を誰かしてないかな…

その中で一番気に入ったのが、本日のBestである「悪魔踊りの仮面と衣裳」。

写真では分かりにくいけれども、頭の部分がすごい立体的な装飾ですごく面白い。角や目がとても大きくて威力がありそうなはずのなに、装飾的になってしまっていて不思議な様相をなしている。むしろかっこいい…のに、靴が『え?これで本当にいいの?』系という。

 

1階の最後の方にあるミイラは、割と気持ち悪かった…。偽物と分かっていても、何かの死骸と思うと気持ち悪い…

ということで、そこは早足で通過。

 

2階にあがるとすぐ「聞く」コーナーがあって、暗幕の中に入ると、音とその擬音語の文字が出てくるインスタレーションになる。

電気のない昔、暗闇の中で聞こえてくる音がなんとも不気味に聞こえることよ。子供の時にベッドの中にもぐりながら、聞こえてくる音におびえていえる感覚を思い出す。

暗幕を出てすぐのところで、その音の正体が明かされるのだが、欲を言えば、音と同時に何の音が出るようにしてくれれば尚分かりやすかったかも(外でも暗幕の中の音は聞こえる)。

 

続く「見る」「知る」では、想像上の生き物の見聞録などが展示されていて面白い。

地図があったりなんかして、現代人は”面白い…”と思っているけれども、当時は本気で信じていたんだとつくづく感じた。

 

最後の「創る」セクションでは、現代の作家さんたちの展示があった。

何気に、ファイナルファンタジーXVのモンスターデザインが一番興味深かった。ゲームをしたことがないけれども、こんなに綿密に考えられているなんて、という驚きと、考えるの、めっちゃ楽しそう!というわくわくを感じた。

 

本当に楽しくて、ばっちり図録まで買ってしまった。

パンフレットと展示物一覧

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「アルテ・ポプラル」展 ー感想

常設展のところでやっていた「アルテ・ポプラル」展についても。

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可愛らしい猫の置物に出向かれたと思いきや…

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なかなかトラウマ級の怖い仮面がすぐ待っている。

これは「コラの仮面」といって、コラというメキシコ中西部の先住民が復活祭の時にかぶるものらしい。この仮面をかぶった若者たちは、”霊に取り憑かれたように3日間休みなく走り、おどる”らしい…。こんなのに遭遇したら失神しそうだよ…

 

それよりも!素敵だったのは生命の木。

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常設展は写真が撮れたので、こんな素敵なものが撮り放題だったのだが、この時ほど、携帯代をけちって安いスマホを買ってしまった自分を呪ったことはない!

全然きれいに撮れない!

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でもしつこく撮る!

ごちゃごちゃ~と所せましとディテール盛りだくさんで、大好物だった。

隙間を縫うように配置された蛇とか最高。

 

これはまた別の生命の木。

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なんか変な色になっているけれども、こちらも濃いピンク色。

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天使とロック(?)が共存しているのが、メキシコっぽい(個人的な印象ですが)。

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このすっとぼけた顔はなんだ!?とりあえず可愛い。

 

小ぶりの生命の木も可愛い。

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ちょっと落ちついた色ながら可愛さが失われていないのが素敵。

 

「驚異と怪異」展も面白かったけれども、こちらも小さいながらも興奮マックスでめちゃくちゃ楽しめた。

「アルテ・ポプラル」展 ―パンフレット

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