円山応挙から近代京都画壇へ@京都国立近代美術館
行った日:2019/12/14
★★★★☆
感想
行くか行かないか迷ったけれども、京都造形のスクーリングで京都に行く用事があったので、その前に行くことに。
行ってみたら、行ってよかったーーー!というものだった。
応挙の襖が見れたのも良かったし、その時のスクーリング内容とリンクしていたのがすごく良かった。
何よりも良かったのは大乗寺にある応挙の襖があったところ。
しかもその展示の仕方が、実際の立て付けのようになっていたので、襖がいかに立体で見るのが大事なのかが分かった。
高さも膝くらいの高さだったので、なんとなく、畳に座って襖を眺めている感じがして良かった。
大乗寺にはいつか行きたい!!!
面白かった作品
写真は図録より。
円山応挙『松に孔雀図』
大乗寺の襖で、金地に墨で描かれる。
墨の色が松と孔雀とで微妙に違うらしく、松は緑色っぽい黒、孔雀は青っぽい黒らしい。そういわれると、そう見えてくる…
その情報を見なくても、松と孔雀とで、同じ墨で描かれていても、なんとなく色味が違って描きわけられているのが分かる。
この屏風を開けると大乗寺の持仏である十一観音が出てくるそうだ。
十一観音の頭部には阿弥陀如来の化仏がいて、阿弥陀如来の乗り物が孔雀なので、孔雀の襖絵なのだろう、ということだった。
(↓図録より大乗寺の様子)
円山応挙 『郭子儀図』
こちらも大乗寺の襖。
子供たちの顔が可愛くないけれど、動きが可愛い。
大乗寺の襖。
こちらの襖も2面となっていて、そのつなぎ目となっている襖の奥の方に山がある。
それがかなたの山で、景色がこちらで迫って来るのが、襖で表現されているのが良かった。
普通に平面に飾られていたら分からなかったこの立体感。展示の仕方、良かった!と心底思った作品。
呉春 『巌山孔雀図』
応挙を支持した人達は孔雀をよく描いたそうで、この展覧会でも孔雀図が多かった。
その中でも呉春のは、そんなに細かく描かれていないが、それゆえにか迫力がある。
長沢芦雪 『花鳥図』
藤の花の枝が、勢いで描いてあるけれど、すごいバランスで素晴らしい。
左の藤の枝でたゆんでる所に鳥が止まっているのが可愛い。
上村松園 『羅浮仙女図』
松園が好きなので、かなりひいき目だろうけど、やはり美人画というと異彩を放ってる気がする。
衣服の紐のすっとした流れが、すらりとした体を強調していて美しい。
円山応挙 『牡丹孔雀図』
岸駒の孔雀図が先に飾ってあっての配置だったせいか、ひときわ素晴らしく見えた。
構図がすっきりしているので、孔雀がものすごく描きこまれていてもくどくなく、美しさだけが目につく。
岩絵具は色が重ねられないので、下地に薄い墨で濃淡をつけてから、絵具を乗せているらしい。
長沢芦雪 『薔薇蝶狗子図』
ただただ可愛い。文句なしに可愛い。
薔薇をうっとり眺めている顔つきといい、仲間のしっぽにじゃれているのといい、ただただ可愛い。
薔薇が写実的に描かれていて、動きに欠ける感じが、仔犬たちの動きがある感じと対照的になって良い。
今尾景年 『群仙図』
こんなに皺ってできないだろう!!とツッコミたくなるくらいの皺。
でも以前見た蕭白の仙人みたいな醜悪さはなく、すっきりした感じ。
色んな能力を持った仙人が集まっているのが、アベンジャーズみたいだなと思ってしまった。いつの時代でも、能力の結集って惹かれるのかな。
本日のBest。
襖絵も素晴らしかったけれども、この水の流れるのを、こんなにも見事に描いているのは見たことないなと思って。
清流の涼やかな感じがすごく伝わって、なんならここからマイナスイオンが流れてきそうな感じがした。
水の線が、たしかに美しい川で見える線だよな、と納得できる形。
写生を第一にした応挙だからこその水の描き方だと思った。
応挙の絶筆とのこと。
応挙の『保津川』の模写らしいけれども、完全なるコピーではなく、荒々しい筆致。
これはこれで素敵。
右上の余白から迫って来る感じがした。
柴田是真 『瀑布図』
濃い黒と白のみで滝を表現している。他の水墨画とはまたちょっと雰囲気が違う気がする。
純粋にきれいだった。
塩川文麟 『嵐山春景平等院雪景図』
薄墨で縦にひいているのが、夜が落ちてきている感じで、面白い効果になっていた。
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