がらくたにっき

美術館・展覧会の鑑賞記録日記

杉本博司 瑠璃の浄土 / コレクションルーム秋期@京都市京セラ美術館

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行った日:2020/10/02

★★☆☆☆

本日のBest:「仏の海」群

感想

家族で京都旅行をすることになり、今年リニューアルオープンしたばかりの京都市京セラ美術館へ。丁度、企画展のはざまみたいな時期で、魅力的な展覧会ではなかったけれども、建物自体が見ごたえあるという話を聞いたので、とりあえず行ってみることに。

表題の「杉本博司 瑠璃の浄土」展と「コレクションルーム 秋期」を鑑賞。

杉本博司」展は割と見ごたえがあったけれども、興味がそそられたのが”杉本博司”の作品というよりは、その被写体だったり、杉本博司?がコレクションしたものが多かった…ま、再発見という点で良かったのかな

コレクションルームに関しては、開館記念展の方に見ごたえのある作品を回したのかな(開館記念展は次の週に始まるという感じだった)、というくらい、「うーーーーん…」という作品が多かった。

 

ただ、確かに建物は素敵で、元々の建築物と、ガラスなどを使った近代的な部分とが、うまい具合に融合されていたと思う。

色々なイベントを行う予定みたいだし、これから注目していきたい美術館だなという印象。

なので、今回は星があまり多くないけれども、それは自分の興味の対象となる展覧会でなかったというだけという感じ。

印象的だった作品

<杉本博司 瑠璃の浄土>

「光学硝子五輪塔」シリーズ

硝子でできた五輪塔で、五輪塔の丸い部分に「カリブ海、ジャマイカ」、「ミルトア海、スーニオン」といったように、杉本博司の白黒の写真が挟まってる。

展示の演出もあってか(暗闇の中にある)、白黒の写真も相まって瞑想的な雰囲気だった。

 

「瑠璃の箱(無色)」「瑠璃の箱(青)」

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写真は「青」の方。でも無色の方が硝子の表情がよく見えて好きだった。

写真を撮っていいのかよく分からず撮らなかったのだけれども…多分撮ってよかったな。

ある意味、単純な作品だと思うけれども、それだけに硝子の美しさ、魅力が際立つ作品。

 

「OPTICKS」シリーズ

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とりあえず色がとてもきれい。

それ以上もそれ以外もないくらい、とりあえずきれい。

 

「仏の海」

三十三間堂の写真。頼み込んで、朝に撮影したらしい。

全仏像を撮影しており、壁の三面を使ってずらりと展示してあるのが壮観だった。

本当は金色の温かみのある仏像のはずが、白黒にすることによって、青味を感じる像になっているのが興味深かった。

とりあえず圧巻で、感動したので、次の日に三十三間堂、しかも朝いちばんに行った。写真撮りたくなるのも分かるくらい(でも撮影禁止)、圧巻で、圧倒されて、しびれるくらい素晴らしかった。

杉本博司の写真が良いというよりも、三十三間堂が素晴らしいのかもしれないけれども、三十三間堂のすばらしさを完全に表現しきっているということで、本日のBestにした。

 

「硝子勾玉・首輪」

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杉本博司の作品ではないけれども、本当に素敵…不純物が入って、まるっきり透明でないのが、やはり味が出ていて素敵。

 

「玉子肌硝子茶碗 御所丸」

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下の方に、ガラス破片みたいのが、一見無造作に見えるような形でひっついているのがアクセントとなって素敵だった。

 

「瑠璃色ガラス筒茶碗」

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こちらも文句なしに美しい。

瑠璃色って、言葉の響きも、漢字も、実際の色も本当に素敵…

 

「硝子茶碗 白瑠璃」

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カットが入った硝子の茶碗を初めて見た。気泡が入っていて、色が琥珀っぽいのもあってシャンパンみたいに見えなくもない。

これにお抹茶が入るとどうなるのか想像つかなくて、ちょっと見てみたい。

 

「泯踊」

田中泯さんのパフォーマンスのビデオ。

お歳を感じさせない、すごい体幹と身体能力に、パフォーマンスの中身よりも意識が持っていかれた。

 

「硝子の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)」

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この景色の中で硝子の茶室、というのが素敵。

ただ…池があんまりきれいじゃなくて、まぁ正直、この中でお茶とかないなと思ってしまった…コンセプトとか遠くから見る分には素敵の一言だけど。

 

コレクションルーム 秋期

入ってすぐになかなか衝撃な作品(悪い意味で)…

 

丹羽阿樹子 「奏楽」

一見、よさげな作品なんだけど、よく見るとお太鼓が変じゃない…?と思ったとたん、そちらにばかり気をとられてしまった。

多分、これ、ちゃんと帯とまってないよ…

 

西山翠嶂 「広寒宮」

こちらも一見よさげ。すごい美しさを感じる、女性陣が軽やかに演奏している雰囲気が伝わる。が!顔が、本当に残念なくらい不細工!

 

竹内栖鳳 「絵になる最初」

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ことさら美しく感じた竹内栖鳳。若干、野暮ったく感じる銘仙?の着物も、彼女の持つとまどい?初々しさ?の小道具になっている気がした。

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後ろの障子の下は、立体的になっている。同系色でまとめられて目立たないけれども、これのおかげで背景が単調にならないで済んでいる。

 

竹内栖鳳 「雨」

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抽象画一歩手前な作品だけど、雨の湿り気たっぷりな感じがよく出ている。

 

竹内栖鳳 「水村」

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こちらも水気たっぷり。面白い構図で、「雨」よりもこちらの方が好きかも。

ほぼ描いていないぼんやりしたものが大半の中、きっちり描いたものが片隅で、しかも奥の描写というのがおもしろい。

 

竹内栖鳳 「驟雨一過」

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水関連の作品ばかりになってしまったけれども、烏の濡れた感じとかさすがだなと思って。

松の緑があまり好きな色ではないけれども…

 

作品一覧

杉本博司 瑠璃の浄土

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コレクションルーム 秋期

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