奇才-江戸絵画の冒険者たち@あべのハルカス美術館
行った日:2020/10/17
★★★★☆
本日のBest:長沢芦雪「唐子遊図襖」
感想
山王美術館の後にあべのハルカス美術館へ。
非常に充実した展覧会で、正直、美術館の面積に対して作品数が多すぎなのでは?と思うくらいの量だった。
江戸のセクションとか、狭い通路の両脇にずらっと並んでぎゅーぎゅー。今のご時世、密が気になる…という感じ。
しかも見ごたえのある作品ばかりなので、見終わってぐったりしてしまった。。。
ということで、珍しく喫茶店へ。
展覧会タイアップのカフェラテもあって、昼にたらふく甘いものを食べたというのに、ケーキセットを頼んでしまった…
何はともあれ、満足度の高い展覧会だった。
印象的だった作品
見ごたえのある作品ばかりだったので図録を購入。
以下、携帯で撮るという雑な写真だけど参考程度に。
写真などで見たことあったけど、たぶん本物は初めて。
思ったよりも大きな作品で、それゆえに異様さが迫力を増している。
かんわいい~~~と叫びたくなる作品。
迫力ある虎のはずだけど、丸っこいフォルムが猫っぽくて可愛い。しっぽのくるりも。
「虎図襖」と対極に配されている襖らしい。迫力あって、部屋が狭く感じそう…
「虎図襖」は遠近を使って大きさを出しているけれども、こちらは全身を描かず、大きな手、しかも片手しか描かないことで、大きさを表現している。
背景のにじみの墨もかっこいい。
「虎図襖」の虎は猫っぽくて可愛いのに、本当の猫の方はそこまで可愛くない…なぜ…
ネコ派ではなかったのかなーと思った作品。
本日のBest。
とりあえずかーわーいーいー!!!
中国古来の琴棋書画をテーマに、子供たちがそれぞれの持ち物を持って楽し気。
間にはころころした仔犬がじゃれあったりしている。
左の方では、飽きてしまったような子供たちと仔犬がかけっこして、向こうの方に抜けていく。
可愛さだけでなく、構図に動きがあるのが、Bestに選んだ要因の1つ。
色のどぎつさと決して美人とはいえないけど何とも言えない表情に強く引き付けられた。
動きに誇張が見られず、優美な感じなのも、このきつさとアンバランスで不思議な魅力にもなっている。
初めて聞く画家だったけれども、伝記事項がほとんど残っていない、謎の絵師とのこと。
かなりデフォルメした菊だけれども可愛い。
他の作品も可愛いものだらけだった。
こちらも「菊図」と同じ。
実際はもっと色がはっきりしていて、絵具のたらし込みが素敵。特に公卿の着物が天目茶碗っぽくてきれいな色だった。
それでいてこの可愛いフォルム。Bestまでいかないけど、すごく好きだった。
本物はもっと色が濃くはっきりした作品。
偏狂と思うくらいのディテールへの執着。
蘭という題材といい、色彩といい、ちょっと異国情緒を感じるけれども、影をまったく描かないところが、ここまでリアリティを求めている割にあれ?という感じで面白かった。
「紫寒蘭図」を描いた人と同じ人と思えない作品。
この大胆な構図が素敵。
これこそ偏狂的としか言いようがない作品で、「すごい」の一言。
よく見ると文字になっていて、五百羅漢を経文で写しているらしい。
55歳の元旦から妻子を遠ざけて、4年かけて「五百羅漢図」50幅、「釈迦文殊普賢菩薩」1幅を完成させたらしい!!!気が遠くなる・・・・・・・・・
ひゃーーーという言葉が思わず出てしまうどぎつい作品。
色もすごいし、顔もかなり癖がある。それでいて繕い物や洗濯などして、この顔でこれ!?みたいな。
所作だけ見るとほのぼの系なのに、色も顔も濃いよ!と突っ込みたくなる。
これまた迫力のある作品。西洋画を思い起こさせる陰影のコントラストがすごい。
逆光の中浮かび上がる衣の鮮やかさが印象的。
本日のBestと迷った1作。
作品自体がどうのこうのというよりも、これを見た途端、「雨の日も神様と相撲を」という小説を思い出してしまった。ここから着想を得たのかな~なんて。
さすが河鍋暁斎、という感じなくらい蛙の表情がめちゃくちゃ可愛い。特に見ている蛙たち。
日本版ボッスいたーーー!と思った作品。
何がどうなってるのかわっぱり分からんけど、とぼけた顔がなんとも言えない可愛さ。
こういう発想、どこから湧くのかな
火焔の形に妖怪が連なっているのが可愛い。
一匹(?)ずつ、とぼけた顔しているのが可愛い。
可愛いしか言ってないけど、とりあえず可愛い。
展覧会の最後の方に展示されていたのだけれども、最後に癖強いの持ってきたねー!と思った作品。
作品の傷み具合は結構すごいんだけれども、それを凌駕するどぎつさ。
子供、特にこちらを向いている子供が可愛くないーー
血の涙はいいとして、もう少し、顔にそって流れないのか?とか、口が笑ってる形だけど、確かに食いしばるときはこうなるかもしれない、とか突っ込みやらコメントが湧き出る。
「奇才」展の最後の方を飾るには、ある意味、正しい作品だった。
チラシと作品一覧