がらくたにっき

美術館・展覧会の鑑賞記録日記

ロンドン・ナショナルギャラリー展@国立国際美術館

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行った日:2020/11/07

★★★★☆

本日のBest:ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス

感想

懐かしい二人の友人とで、それだけでワクワク感募る日だった。

チケットは、コロナの関係で事前購入だったけれども、それでも美術館前には長蛇の列。中も結構混んでたし。あまり人数制限していないのだろうか…

 

何はともあれ、ナショナルギャラリーは学生時代に何度も行ったことがある美術館だけれども、大きな美術館だし、興味のあるところしか見ていなかったので、初めて見た作品も結構あった。

ナショナルギャラリーでも割と目玉になる作品もあって、「おお~」という感じも。

見ごたえがたくさんあったので、その後のコレクション展を見る頃には疲れてしまって、正直、あまり覚えていない…

一つ難をいうと、ゴッホの「ひまわり」が最後に恭しく飾ってあったのは、なんだかなー…という感じだった。そんな特別扱いしなくていい気がするんだけどなぁ…

 全体的には満足感の大きい展覧会だった。

印象的だった作品

ミニサイズの図録が売られていたので、大きいのと迷いに迷い、こちらを購入。

以下写真はその図録から。

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カルロ・クリヴェッリ《聖エミディウスを伴う受胎告知》

非常に細かくて見応えがある。隅々までのディテール。ディテール好きにはたまらん作品。
ただし、顔が皆怖くて、覗き見る子供ですら可愛くない。

 

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ティツアーノ・ヴェチェッリオ《ノリ・メ・タンゲレ》

丁度、マグダラのマリアの本を読んでたからますます興味深かった。もうこの時代では、キリストが庭師の格好をしてないとか。
風景画とも取れるくらいの、引きで場面を表現してるのが面白い。

 

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ジョヴァンニ・ジローラモ・サヴォルド《マグダラのマリア

こちらもマグダラのマリア関連で興味深かった。振り返っているポーズで、視線を観者に向けてるのも面白い。本によると、天使に呼びかけられて振り返ったものの、イエスを見たのにイエスと気付かなかったところらしい。

割と大きなサイズなので、画面いっぱいの構図がより迫力がある。その割には暗めの色調。

 

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ヤコポ・ティントレット《天の川の起源》

これぞティントレット!ってくらい躍動感あふれる画面。乳の勢いに笑ってしまったのと、下世話な話だけど、股間を隠してないくせにまったく描かれてないところにバービー人形感を感じてしまった。
それを差し引いても、やっぱりティントレット、好きだな。色彩といい、この躍動感といい、独特の構図といい、中毒性がある。

 

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レンブラントハルメンズゾーン・ファン・レイン《34歳の自画像》

本日のBestとめちゃくちゃ迷った作品。

写真では分かりにくいけど、顔以外はピントがあってなくて、ブラーがかかった感じ。帽子と背景も境界線があやふやでもやがかかっており、手もまったく描き込みのないぼんやりとしたものになってる。それだけに顔の印象が強い。顔に青系を巧みに入れてるのもさすがだな、という感じ。34歳に見えない顔だけでど、技量としても34歳かー!と感嘆してしまう。

眼も、眼球に光が入っている感じがめちゃくちゃ出ている。

ずっと見ていたい作品。

 

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フランス・ハルス《扇を持つ女性》

友人が「ちょっと田舎のスカーレット・ヨハンソン」と評したのが秀逸。

レースの描き込みとかすごいんだけど、そのコメントのインパクトといったら!

 

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トマス・ローレンス《シャーロット王妃》

ドレスの描き方が素敵。水色のドレスだけれども、薄紫がうまく使われてサテンの質感を出している。サテンの上に薄いレースのような生地がかかっているのもよくわかる。

ドレスが素敵なのに、王妃の少し憂いがかった顔が対照的で印象深い。

 

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トマス・ローレンス《55歳頃のジョン・ジュリアス・アンガースタイン》

目力の強さよ!レンブラントと同じく、服はきっちり描き込まれていない分、顔の印象が強い。いい人なんだろうな~と思わせる、この人の人となりを感じさせる描写がすごい。

 

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ディエゴ・ベラスケス《マルタとマリアの家のキリスト》

このマルタとマリアの話、昔から釈然としなくて、以前、”マルタがマリアと比較したところを咎めたのだ”という趣旨の解説を読んだときに一応は納得したものの、この作品を見て、マルタが報われた気がしてほっとした。

ちょっと嫌々そうなマルタに対して、マルタの労働も大切なんだと諭す老女。マルタも主人公でよかったね、みたいな。

なにげに机の上の魚や卵、にんにくの描写もすごい。

 

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フランシスコ・スルバラン《アンティオキアの聖マルガリータ

おちょぼ口が可愛い。あと衣装が可愛い!

と思って後ろを見るとドラゴン!このアンバランスよ。

 

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バルトロメ・エステバン・ムニーリョ《幼い洗礼者ヨハネと子羊》

カトリック色の強いスペインの絵画は、カトリックではなかったイギリスではあまり受け入れられなかったが、こういったかわいらしい作品は好まれていたらしい。

ムニーリョは、こうやって聖人を少年の姿で表すことで、新しい柔和で感傷的なイメージを作り上げたらしい。戦略勝ちだな、と思わせた1枚。そう見ると、可愛さの裏にあざとさを感じる…なんて

 

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ジョン・コンスタブル《コルオートン・ホールのレノルズ記念碑》

白い点やら線が散らばめられているのが、深い森にチラチラと入る光なのかな、と思ったり。

荘厳な雰囲気の風景画で、ここだけ雰囲気が違った。

 

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ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス

これを見るまではレンブラントがBestかなー…と思ってたけど、これが眼の前に現れた途端、ひゃーーー!!!となった。

もっと明るくて、見てるだけで心が明るくなる作品。

オデュッセイア』を題材にした作品で、船の上の人たちがバンザイポーズしてて可愛い。その手前には海の妖精が浮かび上がっていて(ちょっと幽霊みたい)、幻想的。

太陽もアポロンの場所にひかれているのだが、馬が白く描かれているのでよく見ないと分からない。

心地よい清涼感と、希望を感じる色調と太陽の光線。ずっと見ていたし、ずっと見ていたら色々と発見のある作品。間違いなく本日のBest。

 

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アンリ・ファンタン=ラトゥール《ばらの籠》

ばらという派手な花を描いていながら、この静謐な雰囲気。

色調を抑えて、下部に寄せた構図のおかげなのだろうか。

この雰囲気だからこそばらの愛らしさを感じる。

 

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カミーユピサロ《シデナムの並木道》

すっきりした画面構成に、このパステル調の色調。

この雰囲気に合ったサイズ感で、可愛らしい作品。

 

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ポール・ゴーギャン《花瓶の花》

ゴーギャンの色って結構好きなんだけれども、これは好き!!!ってなった。

人物画よりも花の方が好きかも。

黄色と青って補色の関係できつくなりそうなのに、ケンカせずに調和している。

 

作品一覧

チラシはいくら探してもなかった…残念…

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