ルート・ブリュック 蝶の軌跡@伊丹市立美術館
概要
訪問した日:2019/09/16
★★★★★
本日のBest:「ヴェネチアの宮殿」シリーズ
全体的な感想
東京で行こうと思ったら、恐ろしいくらいの長蛇の列で諦めていた展覧会。
友人に京都の美術館「えき」KYOTOの展覧会に誘われて、それだけじゃもったいないから他も行こう、という話になり、なかなか京都での展覧会で行くのが決まらないなか、友人より「場所が違うけど、こっち行かない?」と言われ。
まさか巡回していると思っていなかったので、「それ、めっちゃ行きたかったやつ!」と二つ返事で行くことに。
本当に行って良かったよ~~~!!!というくらい、素敵な作品ばかり。
本日のBestも悩んだ末に、という感じ。
最初の方の展示は写真撮影もOKだったので、写真撮りながら、「可愛い!可愛い!」と観て、大忙しだった。
因みに写真も撮りまくったくせに、帰りに紀伊国屋に寄って本まで買うくらいはまった。
本見ながらまた反芻。
特に好きだった作品
おバカなことに、最初の方はタイトルをメモるのを忘れていたので、ちょっとタイトルが分からないのがあるけれども、特に好きだった作品。
こう考えると、本ではなくて図録を買えば良かったなー…
まずスケッチ群(これが、どれがどれだか分からない…)
グラフィックデザイナーとして活躍していた頃、ということで、シンプルに可愛らしい。特に1つ目のスケッチが、配色もモチーフも好き。
リノカットの作品。線は躍動感あるけれども、色彩やモチーフのためか、ゆったりとした空気を感じて素敵。
こちらも同じくリノカット。なんとなくもの悲しさを感じる。皆がうつむき加減で、足許に人形が横たわっているからなのか…
1つ上の作品もそうだけど、線や点で描く空気感が好き。
メルヘンチックな題材に、モスグリーンのような色が、あまり甘くしていなくて良かった。
マティスらへんの作品っぽい、絵画っぽい作品だけれども、陶磁器だとまた趣きが違う。更に奥行がなくなるので、線の動きがより強調されるというか。もちろん色も素敵。
背景がベタ塗りでないところが、花の華やかさを表現しているように見えた。
題材がおしゃれで可愛い。背景が壁紙なのか水玉になっているのがツボ。器の縁取りの柄も好き。
なにせ題材が好き!一時、洗髪の絵ばかり描いていたことがあったので妙な親近感。何気ない背景(時計や人形)も雰囲気を演出していて、大事な要素になっていると思った。
スズランの白とカリフラワーの白がアクセントになっている。
ラベンダー色で結婚式を表現するところが、私には無い感性なので惹かれた。
「スグラフィート」という掻き落とし技法を使っているらしい。一度つけた釉薬や化粧を削り落として下の層をのぞかせるらしい。ということでズーム↓
あまり見たことのない色彩感覚だった。東方の三博士もメルヘンチックになるんだ、という驚き。
シンプルに「色がきれい」!
これも色がきれい!!!魚の形態が忠実だからこそ、色んな模様が効いている気がする。
ひたすらオシャレ。これこそ絵画でなくて陶磁器だからこそ表現できる雰囲気だと思った。もちろん絵でも描けるけど、このおしゃれさは出ないな、と。
地味目の色というところが素敵。ともすれば可愛くなりそうなところが、ぐっと引き締まる。
この色調なのにメルヘンぽさを感じる不思議。羽の模様も素敵。
愛嬌のあるフォルムに、この青色が好き。
ここからの建物シリーズが溜まらんくらい好きだった。
凸凹にもなっていて、凹凸と色で表現って陶磁器にしかできない素晴らしい表現。
色がたまらん!!!
窓や扉のディテールがたまらん!!!最近ヴェネチアに行ったので、「そうだった、そうだった」と思って見ていた。
窓枠含め、ディテールが可愛い!
言わずもがな。フクロウが可愛い。
残りの二つは左から「カレリアの家」「カレリアの礼拝堂」。
先ほどの「東方の三博士」をはじめ、キリスト教の作品も結構あった。
こちらは船の魚のところに波も表現されているのが素敵だった。動物もつがいでないところも、無理矢理つがいを描かなくてもいい、という固定概念をなくしているのも、個人的に良かった。
色がとりあえず素晴らしい。青い中にピンクや黄緑などがアクセントのように入っている。
あと扉の周りの重なりも凹凸で表現されていて↓ 深みがでていたのも印象的。
今回のポスターになっている作品。やっぱりモノクロバージョンより色がついている方が好きだな。ルート・ブリュックの作品は色が魅力的なんだな、と改めて感じた。
扉のディテールが好きなのと、壁のディテール↓が面白いのと
ロビーに飾られていたのはルート・ブリュックの娘さんで、アーティストのマーリヤ・ヴィルカラの作品。ルート・ブリュックのタイルを集めたもので、そのまま作品の変遷になっている。
ここから先は残念ながら写真が撮れず…
東京の時のレビューを見ると「すべて写真が撮れた」といった記述があったので、もしかして東京では撮影できたのかな。となると何故…という気がしないでもないけど。
とりあえず、写真のない中、印象的だったのが
「お葬式」
父親を亡くした後に作った作品で、見ているだけでルート・ブリュックの深い悲しみを感じて胸がしめつけられそうだった。
「蝶」
父親が蝶学者という影響で、蝶の作品が多いということ。
まるで蝶の標本のように作られた一連の作品が、動きのあるように展示されていて、それが良かった(それがルート・ブリュックのオリジナルなのかは分からない)
最後にはガラッと作風が変わっている。
正直、色やメルヘンチックな題材に惹かれてしまった為、後期の作品はそこまで魅力的に感じなかった。
ただ映像で紹介されていた「流水」は素敵な感じがしたので、大きなところで見ると魅力的なのかもしれない。
下は、その「流水」を「はじめまして、ルート・ブリュック」からとったもの(本の中では「Iceflow」になっている)。
因みに、各部屋の入口がルート・ブリュックの作品で飾られていたのだが、それも可愛かった。
パンフレットと作品一覧