京のくらしー二十四節気を愉しむ@京都国立近代美術館
行った日:2020/09/21
★★★★☆
本日のBest:安田靫彦『菖蒲』
感想
めちゃくちゃ久しぶりの京都!久しぶりの展覧会!
過去の投稿を見たら、京都も6月に行っていて、展覧会も7月に行っており、そもそも元々そんな頻繁に京都行ってたのか、と言われると行ってないんだけれども、久しぶり感が満載だった。
実際、去年の11月を最後に会ってなかった友人とも会ったし!
と、展覧会から話題が逸れてしまったけれども、展覧会自体は、コレクションからのみの、いわゆる大々的な企画展ではなかったけれども、非常に充実して見ごたえのあるものだった。
コロナによる自粛生活の中で、季節感をなかなか味わうことがなく、いつの間にか秋、という感じだったので、この企画はすごくありがたかった。
内容も、絵画だけではなく、陶器や着物といった工芸品まで幅広い展示だったのも、バラエティ豊かで飽きさせない。ちなみに前に見た「驚異の超絶技巧!」で知った並河靖之や安藤緑山の作品もあって、再び「おおおおお~~~」という感嘆の声をあげてしまった。
印象的だった作品
この展覧会ではほぼ写真撮影OKだったので、気になったのものを撮りまくってたのだが、携帯のカメラの性能があまりよくないのよね…残念。
何はともあれ
福田平八郎『竹』昭和17 紙本、着色、額
入ってすぐに目が入ってくるのが福田平八郎の『竹』。
やっぱり福田平八郎好きだわ~ デザインに近い色と構図だけれども、とりあえずかっこいい。この抜群のバランス感覚にただただ感服するしかない。
小倉遊亀『苺』昭和7 紙本、着色、四曲一隻屛風
題材からして可愛い作品。
平面ではなく屛風というところに、畑の奥行きというか、畝のでこぼこ感が感じられる気がする。
不詳『富士に孔雀図刺繍壁掛』明治38頃 絹、刺繍
どっひゃ~~~~~物
近くで見ると更に迫力満点!
刺繍の指し方(というのか?)でそれぞれの質感を出している。
こう見ると、藤の花って本当に素敵よな…細く垂れ下がっているのが素敵…
このコーナー!すごく素敵だった!!!
写真では分かりずらいけれども、「夏至」のコーナーで、ここだけ夏に見たら涼しく感じるだろうな~という涼やかな空気が流れていた!
その中でひときわ美しかったのが、本日のBest。
この展示の中だったからものすごくよく見たというのもあるかもしれないけれども、凛とした菖蒲の美しさよ…
抑えた色調の中での鮮やかな青色が、清楚な佇まい表している。
林司馬『猫』 大正末 絹本、着色、額
猫が出てきたら、ほぼほぼ可愛いのは確定なのでちょっとずるい気もするけど、可愛いには勝てない。
トマトの赤、花の赤が良いアクセントにもなっている。特に花の赤がパキッとした色になっているので、猫やトマトにいっていた視線が、それこそ猫の視線と共に花に移動する、という流れができている気がする。
北沢映月『祇園会』 昭和11 絹本、着色、二曲一隻屛風
ポスターにもなっていた絵。
姉妹みたいな女の子たちの絵って華やかで可愛くていいよな、と単純に思う。実際に自分も姉妹だから現実は全っ然違うことは分かっているけど、姉妹って絵になるな。
着物も可愛い。
稲垣稔次郎『むくげと野草模様着物』 昭和35 絹、型絵染
可愛いーーーー!!!!となった着物
上の方は葉のシルエットに、白抜きで花があしらわれている。
裾も可愛い。
とにかく色合いがいいよな…そして個人的に紅型とか、こういう型絵染がめちゃくちゃ好きというのもある…
土田麦僊『朝顔』 昭和3 絹本、着色、二曲一双屛風
後ろに下がるの限界で切れてしまっているけれども、この作品は何度も見ているし、いっか、ということで、とりあえず備忘的に貼り付けておく。
まずは朝顔を描き切る根性に脱帽。
上に伸びる蔓の軽やかさと、その上にさらに軽やかに飛び回る雀に、画面下部でしつこく絡み合う朝顔の重さが軽減されて、全体的に明るく軽やかな雰囲気にしていると思う。
あまり陶器には興味がないのだけれども、これはこの意匠がかっこいいなと思って好きだった。
速水御舟『秋茄子と黒茶碗』 大正10 絹本、着色、額
影があるせいか、日本画というよりも洋画っぽい。
しかも地が金というのもあって、なんとなく宗教画っぽい雰囲気があるのに、描かれているのは茄子と茶碗という、なんだか不思議な作品。このオブジェクトの黒さも敬虔な感じがする。でも茄子と茶碗…
上村松園『虹を見る』 昭和7 絹本、着色、二曲一双屛風
上村松園は尊敬の念も込めて、他の画家とは別格に好きなのだが、これはなんかちょっと違う感…
目とか顔立ちがいつもとちょっと違う気がするんだけど、どうでしょう…
子どもはめちゃくちゃ可愛いけどね
山口華楊『白露』 昭和49 紙本、着色、額
本日のBestに迷った作品。
でも前に常設展で見たことがあって、衝撃度は若干向こうの方が勝ったので『菖蒲』にした。
エゴン・シーレのひまわりにしろ、こうやって枯れているひまわりが好きみたい。
華楊の場合は、”枯れて醜い”のではなく”枯れて美しい”を表現しているようで特に好き。
葉の枯れかけているところに金が施されていて、確かに枯れた葉っててかてかしてるし、それが金がかってて美しいって分かるわ~となる。
そしてうなだれているひまわりに呼応するかのように、その下には美しい色をした鶏頭がすくっと伸び上がっているのが、また素敵なアクセントになっている。
芹沢銈介『型染立樹文着物』昭和43 木綿紬、型染
日本というよりも、また別の民族の模様みたいで温かみがあり、何より可愛い。
竹内栖鳳『枯野の狐』 明治30 絹本、着色、軸
もふもふとした冬毛の狐の顔がなかなか険しくて、厳しい冬が感じられる。
奥に見える頼りない月が、またもの悲しさが出ている気がする。
竹内栖鳳は、大体いつも文句なしにうまいので、逆に感動は薄かったりするけど、これは寂寥感を感じた。
小倉建亮『訪問着「夢」』 昭和39 絹、絞染
これまた美しい着物!!!!
特にこの裾の部分!
最近、ナウシカを観たのもあって、腐海の森を思い出してしまったけど…
森田子龍『凍』 昭和32 紙・パネル、墨、額
まったく分からないけど「凍」と書いてあるらしい書。
もはや抽象画の書。こうなると書ってなんだろうってなるなと思った。
神阪松濤『椿』 明治末 絹本、着色、額
色調をものすごく抑えた椿。
実際に見る椿は、逆に深緑に赤やピンクと、割とコントラストが激しいと思うのだが、霧の中にあるような、幻想的な椿に仕上がっている。「秘密の花園」にありそうなバラのようでもあり、印象的な作品だった。
竹内栖鳳『春雪』 昭和17 絹本、着色、額
またもや竹内栖鳳の「あーもー分かりましたよ、めっちゃうまいですね!」的作品(なんだそりゃって感じだけど)
烏がにじみで描かかれていて、そらもう素晴らしいんですよ。
長谷川潔『アネモネ』 昭和5 紙、ポアント・セーシュ(ドライポイント)
この人の版画、本当に好き!
精緻であり、静けさをたたえている。白黒だけでこんなにも表現できているのがすごい。
これは前のよりも華やかでかわいらしさを増す。
レースの細かさよ!
番外編
おまけとしてコレクション展から。
特別展でへろへろになってしまって、コレクション展は完全なる流し見だったけれども、この棚が可愛い&面白くて
柴田是真、加納夏雄、旭玉山、加納鐡哉、石川光明、高村光雲、香川勝廣、大谷光利『福禄封候図飾棚』 1883 紫檀、竹、象牙、銀、四分一、金、漆
創った人の顔ぶれみても、なかなか贅沢だったのだなぁ
特に面白いのが棚の上!
可愛い!
チラシと作品一覧
この展覧会のチラシは、表紙が違う3種類あったので、まずは3種類の表紙を
作品一覧